会社を設立したら社会保険に加入しなければならない 

会社を設立すると、国民年金は厚生年金に、国民健康保険は健康保険に切り替える必要があります。役員一人の会社であっても、これらの社会保険に加入しなければなりません。また、従業員を一人でも採用したら労働保険に入らなければなりません。今回は、会社設立後の社会保険・労働保険について解説します。

 

1.社会保険への加入手続き

一言に社会保険といっても、「健康保険」「厚生年金保険」「労働保険(雇用保険、労災保険)」に制度も管轄する役所も分かれています。「健康保険」と「厚生年金保険」を狭い意味での社会保険といい、管轄は年金事務所となります。「労働保険」の管轄は労働監督基準署とハローワークとなります。

 

健康保険・厚生年金保険

会社を設立し、給与を支払うこととなったとき

会社設立から5日以内に「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を管轄の年金事務所に提出します。このとき、法人登記簿謄本(事業所の所在地が登記上の所在地等と異なる場合は「賃貸借契約書のコピー」など事業所所在地の確認できるもの)も添付します。これは会社が健康保険・厚生年金保険の適用事業所となるための手続きです。

これと併せて、社会保険に加入する人の「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出する必要があります。この届出には報酬月額(給与)を記載する欄があり、それによって社会保険料が決まるため、それまでに給与を決めておかなければなりません。

 

従業員を新たに採用したとき

従業員を雇用することとなった日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出します。従業員はパートやアルバイトであっても、労働時間・労働日数が一般社員の3/4以上である場合は、社会保険に加入する必要があります。

 

労働保険

雇用保険と労災保険をまとめて労働保険と総称します。この労働保険は、役員だけであれば加入する必要はありませんが、労働者(パート、アルバイトも含む)を一人でも雇っている事業主は少なくとも労災保険には加入することが義務付けられています。

雇用保険は、従業員が失業したときに失業保険を受け取ったりするためのもので、管轄はハローワークです。労災保険は、従業員が労災事故にあったときに給付を受けることができるもので、管轄は労働基準監督署です。一括りに労働保険と言っても、管轄が分かれているので、注意が必要です。

 

労働保険に加入するとき

「保険関係設立届」を所轄の労働基準監督署又はハローワークに提出します。労災保険は、従業員が一人でもいれば加入しなければなりません。

雇用保険にも加入する場合には、「雇用保険適用事業所設置届」及び「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出します。パート・アルバイトであっても、1週間の労働時間が20時間以上ある労働者は雇用保険に加入することが必要です。

保険関係成立届提出後その年度の労働保険料を概算保険料として申告・納付することとなります。

 

 

2.社会保険料・労働保険料の支払

社会保険・労働保険に加入したら、当然、社会保険料や労働保険料を支払わなければなりません。この社会保険料・労働保険料には、全額会社が負担するものと、会社と従業員が折半するものがあります。会社と従業員が折半するものは、毎月給与計算を行い、従業員の給与から天引きしなければなりません。

 

 

3.社会保険料・労働保険料の変更

社会保険料・労働保険料は従業員の給料等によって決まります。従業員の給料等は変わることがあるので、年に一回変更等をする手続きが必要となります。社会保険料を変更する手続きのことを「定時決定」といい、毎年7月10日までに算定基礎届を年金事務所に提出して行います。なお、「定時決定」の時期でなくても、給料等が一定額以上変わった場合は「随時改訂」という変くの手続きをする必要があります。

労働保険料は、4月1日から3月31日までに実際に支払った給与から、あるべき労働保険料を計算して精算するとともに、翌年一年分の概算労働保険料を前払いします。この手続きのことを「年度更新」といいます。

これらは毎年、決まった時期に必ず行わなければならない手続きですので、忘れないようにしましょう

 

 

まとめ

会社を設立した後の社会保険に加入するときの手続きについて解説しました。これらの手続きを社会保険労務士に依頼することもできますし、自身で進めることもできます。書類の記入の仕方などは年金事務所、労働基準監督署、ハローワークに行けば教えてもらうことができますので、会社を設立したら、一度はこれらの手続きを自身で進めるのもよいでしょう。