宿泊税の消費税の取扱い、支払ったときの勘定科目、仕訳例を解説

一定の地域にあるホテルや旅館などに宿泊すると「宿泊税」という税金の支払いが必要となることがあります。この宿泊税を支払ったときはどのように経理処理をすればよいのでしょうか?宿泊税を支払った場合の経理処理について解説します。

 

宿泊税とは?

宿泊税とは?

宿泊税は「地方税」に分類され、地方自治体が徴収する税金です。

一定の観光地にホテルまたは旅館に宿泊する方に課税される法定外目的税で、宿泊税の税収は都市の発展、魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する費用に充てられます。

宿泊者が、ホテルや旅館などに支払い、そのホテルや旅館などが地方自治体に税を納めます。

 宿泊税を導入している自治体

宿泊税は全国どこでもかかかるものではなく、一部の地方自治体が条例によって課税するものです。

2023年11月末時点で、東京都、大阪府、福岡県(福岡市、北九州市は特例税率)京都市、金沢市、倶知安町、長崎市などが宿泊税を導入しています。

 宿泊税の金額

宿泊税の課税額は各自治体により異なります。

例えば、大阪府では宿泊料金に応じて次のように定められています。

7000円未満 課税されません

7000円以上15000円未満 100円

15000円以上20000円未満 200円

20000円以上 300円

 

宿泊税に消費税はかかる?

宿泊税は通常、ホテル代などの宿泊費と一緒に支払います。宿泊費には消費税がかかりますが、この宿泊税にも消費税はかかるのでしょうか?

消費税の課税要件から考えてみましょう。

消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。

    国内において行うものであること

    事業者が事業として行うものであること

    対価を得て行うものであること

    資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること

宿泊税は、利用した宿泊先を通じて地方自治体に納められるものであり、その支払いについては、商品やサービスの提供を受けたことに対する対価として支払うものではありません。そのため、課税の対象の4つの要件に該当せず、消費税の課税対象外取引(不課税取引)となります。

 

なお、国税庁のタックスアンサー「No.6313 酒税、たばこ税などの個別消費税の取扱い」にも以下のような記載があります。

軽油引取税、ゴルフ場利用税、入湯税は、利用者などが納税義務者となっているものですから、その税額に相当する金額を請求書や領収証等で相手方に明らかにし、預り金または立替金等の科目で経理するなど明確に区分している場合には、課税標準には含まれないことになります。

なお、その税額に相当する金額を明確に区分していない場合には、課税標準に含まれることになります。

上記例示には宿泊税についての記載はありませんが、入湯税やゴルフ場利用税、軽油引取税と同様に利用者が納税義務者となっているものなので、これらと同じように考えるとよいでしょう。

 

宿泊税を支払ったときの勘定科目と仕訳例

次の事例で見ていきましょう。

例:宿泊費(ホテル代)11,000円(うち消費税 10% 1,000円)、宿泊税100円の合計11,100円をホテルに現金で支払った

 請求書や領収書に「宿泊税」の金額が明らかに明記されているため、宿泊税は「租税公課」の勘定科目で処理します。仕訳は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
旅費交通費(課税仕入) 10,000円 現金 11,100円
仮払消費税 1,000円
租税公課(不課税仕入) 100円

 なお、請求書や領収書に「宿泊税」の金額が明らかに明記されていない場合は、すべて「旅費交通費」の勘定科目で処理します。

 

まとめ

宿泊税を支払ったときの経理処理について解説しました。宿泊税のほかに、「入湯税」や「ゴルフ場利用税」についても宿泊税と同様に、請求書や領収証等にゴルフ場利用税の金額の記載があるかどうかで経理処理の方法が異なります。会計処理と消費税の取扱いに注意しましょう。