創業融資の面談では、経営者本人や事業などについて質問されることになります。この記事では、日本政策金融公庫の創業融資の面談でよく聞かれる項目と注意点について解説します。
融資面談で主に質問される項目
融資面談では、主に事業計画書に記載されたことを中心に質問がされるため、自分で事業計画を作成している場合はほぼ問題なく答えられるといえます。
また、聞かれる内容も同じようものが多いので、あらかじめ質問される項目を把握し、対策をしておけば特に答えに困るということはありませんが、中にはとっさには答えにくいものなどもあるため、漏れのないよう確認しておく必要があります。
なぜこの事業を始めようと思ったのか?(創業の動機について)
創業の動機は、これから行おうとする事業についてきっかけとなった経緯や意欲を確認するもので、ほぼ必ず聞かれる項目となります。
ただし、この際には、あまり自分の意欲を熱くなって語る必要はありません。
むしそれよりも、自分の考えや事実にもとづいて客観的に答えることをおすすめします。
なぜなら、ここで面談で聞きたいと思っているのは、「どのような経緯で開業したのか?」や「そのために何をしてきたか?」ということだからです。そのため、自分の事業への思いを熱く語っても、本来聞きたいことにはなりません。
なお、この項目については、すでに事業計画書にも記入しているものであるため、事業計画書に書かれた内容と矛盾しないようにしましょう。回答するときは、客観的な事実にもとづいて、かつ、事業計画書の内容を踏まえたものとなるようにしてください。
経営者の略歴や経験について
経営者のこれまでの経験も聞かれることの多い項目といえますが、これについても事業計画書の中で記入しているので、その内容に沿った回答とするのが望ましいといえます。
なお、これは事業計画書へ記入するときのポイントともなりますが、過去の経験はできるだけこれから行う事業に関連付けて回答するようにしましょう。
また、事業に関連する職業の経験があるか否かは、審査での重要な項目となるため、十分な経験がある場合にはできるだけそれを前面に出すようにアピールしてください。
例
「創業◯年で多くの有名シェフを輩出している老舗の◯◯店で、調理を◯年、仕入れを◯年行なっていました。また、この経験を通じて、基本的な調理技術の他、材料の目利きや仕入れ、原価管理という経営に必要な知識を習得することができました。」
取り扱う商品・サービスの強み・弱みなどについて
取り扱う商品やサービスの強みなども、面談で聞かれることが多い項目です。
取扱う商品については、すぐに回答できるようにしておくのは当然ですが、あわせてその強みについても簡単にアピールできることが望ましいといえます。
取引については、販売先と仕入先の両方について確認がされます。飲食店や一般小売の場合には、販売先は「一般顧客」で構いませんが、ターゲット層のイメージについては説明できるとよいでしょう。
なお、この時点で具体的な販売先がすでにある場合には、売上げが見込める先が確保できているものとして高評価となるので、規模は小さくともこのような先を確保できるようにこころがけてください。
また、販売先や仕入先が複数ある場合には、それぞれに対するおおまかな金額やシェアの見込みも頭に入れておくようにしましょう。
サービスの強みや弱みについては、自分が想定していることだけではなく、客観的に見ても強みと認められるような点を見つけられるかどうかが重要なポイントとなります。
『強み』だけでなく『弱み』も重要です。
事業を進める上での課題を認識し、その対応策が考えられていなければ、事業が失敗する可能性が高まるからです。
強みや弱み、課題と対応策を自分で見つけるのが難しい場合には、創業融資や事業計画書作成のプロに意見を聞くということが効果的となります。
自己資金の金額や準備方法について
自己資金については「出所はどこか?」、「いくらなのか?」、「貯めた経緯はどうなっているのか?」などを必ず聞かれるため、説明できるようにしておきましょう。
原則として、自己資金の確認は、自己資金の入っている通帳の履歴を過去にさかのぼって確認するという方法で行われます。
もし、貯めた経緯に問題があるときやどのように準備したのかの説明がつかない場合には、かなり深く追及されるだけでなく、審査にもかなり悪影響が出ます。したがって、自己資金については、何を聞かれても答えられるようにしておくことが必要といえます。
また、自己資金が貯蓄以外の場合には、退職金であれば退職金の支払い明細書、有価証券ならば直近の時価相場額、相続の場合には遺産分割協議書というように、出所に応じて異なった確認資料を求められるため、シッカリと準備しておく必要があります。
資金使途について
面談では、資金使途についても聞かれます。
具体的には、「何にいくらぐらいの資金を使う予定か?」や「その見込み額は妥当か?」などを聞かれますが、これについても事業計画書に記入した内容と矛盾しないようにしましょう。
なお、事業計画書の中でこの部分の見込みを膨らませて記入する方がいますが、事業にあまり必要のないものが入っている場合には減額される原因となるため、面談でその必要性を聞かれた時に、説得力をもって答えられるようにしておく必要があります。設備などに充当する予定である場合は、見積書などを準備しておくとよいでしょう。
また、運転資金については、融資の目安は約3~4ヶ月分とされているため、あまり長い期間の運転資金を申請することはできません。
事業に失敗したときの対応法について
面談では「もし、事業がうまくいかなかった時はどうするか?」ということを聞かれることがあります。
これについては想定していない方が多いですが、これにしっかりと答えられないと、「リスクを考えていないのでは?」や「楽観的にしか考えていない」と判断されてしまう可能性があります。
なので、この質問に対しては、「一生懸命やります」などといったような、根拠のない回答ではなく、具体的な対策を含めて答える必要があります。
たとえば
・もし、売上げが下ぶれて計画が予定通りに進捗しない場合に備えて、売上げの最低限界額を決め、その段階にならないよう常に注意して経営する。
・仮に、損益分岐点以下の売上高となる月が続き、手元の資金が不足するような場合には、従業員の削減、商品の見直し、店舗販売からネット販売への切り替えなどにより経費負担を減らす。
などの回答も用意しておくとよいでしょう。
まとめ
創業融資の面談でよく聞かれる項目と回答するときの注意点について解説しました。最低限この記事で解説したことくらいについてうまく回答できないと失敗する可能性が高まります。また、事業計画書の内容も確認して、矛盾しない回答となるようにしましょう。