経営者が人を雇い、働かせる上で、労働者のワーク・ライフ・バランスというのは、無視できないポイントです。
平成19年には、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」が策定され、平成20年4月1日から適用されています。
ワーク・ライフ・バランス向上を図るためには、働き方だけでなく、休ませ方というのも重要です。そのため、労働時間の見直しや、時間単位の年次有給休暇制度の導入、特別な休暇制度の普及促進などが、経営者には求められています。
この記事では、そのなかから、特別な休暇制度についてご説明します。
「特別な休暇制度」とは?
休暇には、法律で定められたもの(法定休暇)と、企業が任意で定めたもの(法定外休暇)があります。
たとえば、年次有給休暇や生理休暇は、労働基準法で定められている法定休暇です。
今回取り上げる特別な休暇制度は、法定外休暇です。
特に配慮を必要とする労働者に対する休暇制度であり、取得の目的や形態を、労使の話し合いによって、任意で設定することができます。
「特に配慮を必要とする労働者」とは、さまざまな事情により、事業主の配慮を必要としている労働者を指します。
具体的には、以下のような労働者のことです。
・特に健康の保持に努める必要があると認められる労働者
・子の養育または家族の介護を行う労働者
・妊娠中および出産後の女性労働者
・公民権の行使または公の職務の執行をする労働者
・単身赴任者
・自発的な職業能力開発を図る労働者
・地域活動などを行う労働者
事業主には、それぞれの労働者が抱える事情や業務の態様に応じて、労働時間を設定するなどの対応が求められます。
特別な休暇制度の具体例とは?
特別な休暇制度にはどのようなものがあるのか、具体的に挙げてみましょう。一例として、特別な休暇制度には、以下のようなものがあります。
病気休暇
⇒私傷病のために長期にわたる治療が必要であるなど、治療を受けながら就労する労働者をサポートするために付与される休暇
ボランティア休暇(社会貢献活動休暇)
⇒地域活動やボランティア活動など、労働者が自発的に無報酬で社会に貢献する活動を行うときに付与される休暇
リフレッシュ休暇
⇒労働者の心身の疲労回復などのために付与される休暇
裁判員休暇
⇒労働者が裁判員などの職務を果たすために付与される休暇
犯罪被害者などの被害回復のための休暇
⇒犯罪行為により被害を受けた被害者やその家族などの、被害回復のために付与される休暇
繰り返しになりますが、特別な休暇制度は、労使の話し合いで取得の目的や形態を決められるものです。ですから、企業によっては、下記のような特別な休暇制度が、独自に設けられています。
・健康管理休暇
・キャリアデザイン休暇
・結婚準備休暇
・結婚休暇
・学校行事休暇
・骨髄ドナー休暇
・フリーバカンス休暇
・ゴルフ休暇
なお、特別な休暇制度は、法定外休暇であり、有給にするか・無給にするかなどについては企業が独自に決めることができます。
特別な休暇制度を設ける企業側のメリット
特別な休暇制度は従業員にとってありがたいものですが、企業側にもメリットがあります。
メリット1:従業員のモチベーションアップ
従業員の状況に配慮した制度があるということは、従業員のモチベーションアップに繋がる可能性があります。
メリット2:定着率の向上
従業員のワークライフバランス向上にも繋がり、従業員の定着率の向上を期待することができるでしょう。
メリット3:企業イメージの向上
最近はちょっと変わった独自の休暇制度を設ける企業も増えてきました。そのような休暇制度を設ければ話題になり、企業イメージの向上に繋がります。企業イメージが向上すれば、採用面での好影響が出てくる可能性もあります。
まとめ
労働者の心身の健康を保つためにも、休み方というのは大切です。
経営者としては、内心、「休暇なんて増やしたくない、労働者には休んでほしくない」と考えていらっしゃかもしれません。
ですが、厚生労働省の資料でも、ワーク・ライフ・バランスへの配慮など、働きやすい環境づくりを行うことは、売上高の増加や従業員の確保・定着といった好影響を企業に与える可能性が示唆されています。
労働者のモチベーションアップのためにも、特別な休暇制度の導入を検討されてはいかがでしょうか。