どんな会社でも年に一回は決算をしなければなりません。決算ではどのようなことを進めていくのでしょうか?決算をスムーズに進めるためのポイントはあるのでしょうか?今回は会社の決算について解説します。
会社の決算とは?
会社の決算とは、会社の年間の損益を計算するとともに期末日時点の資産、負債、資本を確定させ、決算書(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書など)を作成する一連の手続きのことをいいます。
決算書は、株主への業績報告や正しい税金の計算と納税などの目的で利用します。また、金融機関から融資を受ける際などにも必要となります。
決算はいつまでに行わなければならない?決算の期限を解説
会社の場合は、決算日の翌日から2ヶ月以内に法人税等や消費税等の申告と納税を行う必要があります。
例えば、3月31日が決算日の会社であれば、5月31日までに税金の申告と納税を行わなければなりません。
会計監査人の監査を受けるなどの理由により、決算日の翌日から2ヶ月以内に株主総会で決算を確定させることができない場合は、法人税等や消費税等の申告期限を延長することはできます。しかし、その場合であっても、法人税等や消費税等の納税を決算日の翌日から2ヶ月以内に終えていないと延滞税がかかることになるため、実質的にはそのタイミングでは税金の計算まで含めた決算処理を終えている必要があります。
そのため、通常は遅くとも2ヶ月以内には決算を終えておく必要があるでしょう。
会社の決算の進め方
一般的な会社の決算の進め方は次のとおりです。
1.決算処理を行う
まずは決算処理を行い、決算数値を固める必要があります。
主な決算処理には次のようなものがあります。
・会計帳簿のチェック
入力した仕訳に誤りがないかどうかをチェックします。
・勘定科目の残高を確定させる
現金の実査、預金の残高証明書との照合、実地棚卸、売掛金や買掛金の残高確認書との照合などを行い、勘定科目の残高を確定させます。
・決算整理仕訳を入れる
減価償却費の計上や引当金の計上など、決算時に必要となる仕訳(決算整理仕訳といいます)を入れます。
・税金計算を行う
税金計上前の試算表をもとに税金計算を行います。
・税金の仕訳を計上し、決算を確定させる
税金計上の仕訳を入れて、税金計上後の試算表を確定させます。
2.計算書類、税務申告書を作成する
決算数値が確定したら、株主に提出するための計算書類や税務申告書を作成します。
3.取締役会・株主総会で承認を受ける
決算書(計算書類)について取締役会と株主総会で承認を受ける必要があります。
承認されることにより決算が確定します。
4.税務署等に税務申告書を提出する
株主総会で承認を受けた後、法人税等や消費税等の申告書を提出します。
確定決算主義といい、法人税等の申告は、株主総会等で確定した決算書をもとに行わなければならないこととされています。
決算をスムーズに進めるために必要な事前準備とは?
決算時も通常業務は発生しますから、通常業務に加えて決算業務を行わなければなりません。そんなときでもバタバタしないようにするためには事前準備が大切です。
決算をスムーズに進めるための事前準備には次のようなものが考えられます。
マニュアルを整備する
中小企業の場合、決算業務は年一回しか行うことはありません。年一回の業務だと、前年にどのようにやっていたか忘れてしまうことも多いでしょう。思い出しながらの作業となると、余分な時間もかかりますし、ミスをしてしまう可能性も高まります。
頻度が少ない業務であっても、マニュアルを作成し、手順をわかるようにしておくことが重要です。
進捗管理表を作成し、役割と期限を共有する
決算業務は通常、複数のメンバーが分担して進めることになるでしょう。前の人の作業を受けて、次の人が作業を進める場面もあるでしょうから、一人が期限に遅れると、玉突きで後の作業がすべて遅れてしまう可能性もあります。
誰がいつまでに何をやらないといけないのかを明確にした管理表を作成し、進捗状況を共有しながら進めるとよいでしょう。
関連部署にも事前周知する
決算作業を進めるにあたって、関連部署から資料屋情報を入手しなければならないこともあるでしょう。関連部署からの資料や情報の提供が遅れれば、そのまま決算作業の遅れにも繋がります。決算業務が関連する部署に、予め必要なものや期限を通知しておくとよいでしょう。
月次決算を行う
毎月、月次決算を行い、そのタイミングで必要なチェックを行っていれば、決算時の負担を減らすことができるでしょう。
決算後に決算作業の振り返りを行い、改善する
決算が終わりホッとするのもつかの間。すぐに日常業務に戻り、再び日常業務に追われる日々がくるかもしれません。しかし、少しでもよいので、決算後に決算作業の振り返り(決算反省会)を行うようにしましょう。そして、決算作業でうまくいかなかった点があれば、改善策を検討しておくとよいでしょう。これを後回しにすると、作業時に気づいていたことを忘れてしまう可能性があります。振り返りは、決算が終わったらなるべく早く実施するようにしましょう。
事前準備をしっかりとすることで、決算時であっても、スケジュールどおりに業務をこなせるようになるでしょう。
まとめ
中小企業で必要となる決算業務や決算業務をスムーズに行うための方法について解説しました。決算には期限があり、待ってくれません。決算をスムーズに行うためにも決算に向けての事前の準備が大切になってくるでしょう。