居抜き開業とは?メリット・デメリットを解説

「ラーメン好きが高じて」や「趣味の料理を活かしたい」など、様々な理由から起業し、飲食店経営を始める方が多くいます。独立開業において、飲食業は非常に人気が高く、業種別の開業率においてもトップとなっています。

当記事では、飲食業における初期費用を抑えた開業に効果的な「居抜き」について解説を行っています。飲食業での開業を考えている方や、興味を持っている方は是非参考にしてください。

 

飲食業の開業費用はどれくらいかかる?

飲食店とひと口にいってもラーメン屋や居酒屋、和食割烹など様々な種類があり、開業費用も当然千差万別となります。しかし、どのような飲食店であれ、厨房で使用する機械設備や食器などの備品購入が必要です。そのため、飲食店としての形態を問わず、開業に当たってある程度以上のまとまったお金が必要であることに違いはありません。

実際に飲食店の開業費用が高額になることはデータとして示されています。日本政策金融公庫のデータによると、飲食店での開業に掛かる費用は平均で883万円となっています。また、開業費用の内訳上位は次の通りです。

 内外装工事:368万円(41.7%)
 機械・什器・備品等:186万円(21.1%)
 運転資金:169万円(16.9%)
 テナント賃貸費用:155万円(17.5%)

データを見ると、飲食店としての内外装工事費用や、機械・什器などの購入費用の占める割合が高いことがわかります。上位2つだけで554万円と全体の過半数を上回り、この費用を抑えることができれば、開業へのハードルは大幅に下がることになり、開業当初から大きな借り入れを行う必要もなくなります。

 

飲食店の経営はとても難しい

飲食業は、開業率だけでなく、廃業率においてもトップであり、安定して経営することが難しいのが現実です。廃業に至る原因は、立地条件の悪さや人手不足など様々ですが、開業に当たって借り入れた開業資金の返済に行き詰まっての廃業というケースが多く見られます。そのため。廃業に至らないためにも、初期費用を抑えたスモールスタートでの開業は効果的です。

飲食店の開業直後のよくある失敗

 

居抜き開業とは?メリットやデメリットは?

居抜きとは?

開業に当たっての初期費用を抑える効果的な手段として居抜きでの開業という選択肢が存在します。居抜きとは、前テナントが残した機械設備や備品などをそのまま利用する形態での不動産賃貸や売買のことを指します。また、店舗内の機械設備や内装が、利用可能な状態で残っている物件のことを居抜き物件と呼びます。

例えば、前テナントと同形態の飲食店として入居し、機械や什器をそのまま利用すれば、新規開業であれば必要であった工事費用や機械設備購入に掛かる費用を大幅に抑えることが可能です。飲食業以外でも居抜き物件を利用することは多いですが、開業に当たって厨房機械や食器などの備品購入が必要となる飲食店において、特に初期費用削減効果が高くなっています。

居抜き物件のメリット

居抜き物件における最大のメリットは、前テナントが残した機械設備や備品をそのまま利用することによる初期費用の削減です。例えば、業務用冷蔵庫は新品で約30万円となっており、中古でも15万円から20万円程度となっています。業務用食洗器であれば、新品約40万円、中古で約30万円です。仮にこの2つを前テナントが残し、そのまま利用可能な居抜き物件であれば、それだけで大幅な初期費用削減が可能です。

実際には、冷蔵庫や食洗器だけでなく、シンクやガスコンロ、フライヤーなども必要な場合があり、その全てが残っている居抜き物件であれば、費用削減効果はより高くなっています。また、新規であれば必要な機械設備の据付工事も不要となり、飲食店としての内装も出来上がっているため、内装工事費用も掛かりません。

また、居抜き物件であれば工事が不要となるため、開業までの時間が短縮できることもメリットの1つです。その他にも最近まで飲食店があった場所に、同形態で入ることになるため、世間から「あの場所には飲食店がある」と既に認知されていることもメリットとなっています。

居抜き物件のデメリット

初期費用の削減効果が高い居抜き物件ですが、メリットばかりではなく、デメリットも存在します。まず大きなデメリットとしては、店舗レイアウトの自由度が低いということがあげられます。

折角飲食店として独立開業するのであれば、自分のこだわりを反映した店舗にしたいと考えるのが一般的です。しかし、前テナントの内装や機械設備をそのまま利用する居抜き物件では、こだわりを反映した内装とすることは難しいでしょう。

もちろん新たに内装工事を行えば、こだわりを反映した内装にも出来ますが、それでは居抜き物件のメリットもなくなってしまいます。また、前テナントにとっては使いやすい配置や機械設備だったとしても、自分にとって使いやすいとは限りません。

使いやすさとは別に機械設備の老朽化といった問題も居抜き物件のデメリットとなっています。使い始めてみたは良いが、すぐに故障し修理に多額の費用が掛かったというのであれば、費用削減効果も薄くなってしまうため、物件を選ぶ際には老朽化していないか確認することが必要です。

居抜き物件には、どうしても前テナントのイメージが付いて回ります。そのため、前テナントが不祥事を起こして撤退していた場合には、店舗に付いたマイナスイメージを背負ったままでの開業となってしまいます。そのようなことにならないように不動産業者に良く確認を取りましょう。

まとめ

飲食店として独立開業したいと考えていても、開業に掛かる多額の費用の工面を考えて中々実現に踏み出せない方も多いのではないでしょうか。そんな時にお勧めなのが居抜き物件での開業です。

当記事では、居抜き物件のメリットだけでなく、デメリットについても解説を行ってきました。デメリットがあるとはいえ、資金面でのハードルを大幅に下げることが可能な居抜き物件での開業は非常に魅力的です。飲食店として開業を考えている方は、当記事を参考に是非居抜き物件での開業を検討してください。