【起業家インタビュー】 合同会社NANAIROKIKAKU 代表社員・松本慎二様

芸人から実演販売士、そして会社経営者へ-。実演販売士として個人で活動していたところ、コロナで仕事が激減。収入を安定させようと掃除用品の卸・小売業に着手したことが法人化のきっかけでした。設立から3年目を迎えた今年は、Youtubeなど動画共有サービスの配信事業を軌道に乗せ、自身の活躍の場を海外へも広げたいとしています。

 

芸人出身の実演販売士としてスタート。起業のきっかけは事業の拡大

もともと大阪で15年ほど芸人をしていました。ある時、実演販売の仕事をする機会があり、その魅力に惹かれたのがきっかけで、そのまま実演販売士として活動することにしました。芸人時代に培った軽快でテンポのよい話術や説得力のある話し方には自信がありますし、お客様の反応をそのまま目前で感じられることにも、この仕事の楽しさと面白さ、やりがいを感じました。
しかし実演販売士の仕事は、イベントや展示会などがの催しがあって、対面でやる仕事です。2020年のコロナ感染拡大時は、仕事が激減してしまいました。そこで社会情勢の影響を受けないような収入源をつくる必要があると考え、掃除用品の取り扱いを始めることにしました。その際、卸会社との取引用においては法人口座が必要ということになり、法人化することになりました。

 

実演販売士の仕事が好き。日々、スキルアップには余念がありません。

モノやサービスにお金を払うという行為に結びつけるには、まず買う人に納得してもらうことが必要です。「実演販売士」の仕事は、限られた時間で、僕がお客様からいかに信頼してもらえるかということにかかっています。そのため、「喋る」技術を磨く意識は当然高いです。例えば、プライベートで買物に行っても、お店の接客態度などを細かく観察します。
また僕にはサラリーマンとしての経験がないので、クライアントとの打ち合わせ時に、「エビデンス」とか「リテラシー」など、最近サラリーマンがよく使うキーワードを仕入れます。仕入れた言葉を、プレゼン時などに取り入れて、堂々と、うまくそれなりに使いこなしてしゃべる技術が必要です。
元々言葉への感性は高い方だと思っていますが、スキルアップはもはやライフワークです。これはもともと僕が芸人で、根っからの芸人ということなのかもしれません。好きなことを追求して、今に至っていると思います。
ちなみに、社員教育や、コミュニケーション講座などの講師依頼を受けることがあります。しかしそういう仕事は極力受けないようにしています。僕のやっている仕事には正解がないと思うんです。お客さんも十人十色ですし、答えがないものを「これが答えだ」といって人に伝えることには抵抗があるからです。

楽しみで始めた動画配信サービス。ターゲットは海外。

昨年11月からYouTube、今年2月からTikTokでの配信事業を始めました。僕は元が芸人ですからね。とにかく自分が楽しいと思うことを発信しているつもりです。YouTubeはコメディの配信で、ターゲットは日本でなく海外。ただ、海外の人たちの笑いのツボがわからないので、毎回が試行錯誤。ある時、それまでチャンネル登録者数6万人だったのが、一気に9万人まで増えたことがありました。いわゆる「バズる」状態です。それ以来、なんとなくコンテンツの方向性が定まりつつあります。現在、100か国で閲覧されており、登録者数はそろそろ10万人に達します。また今年から始めたTickTock動画配信の方は、現在5万人の登録があり、開始から半年で収益化しています。自分が好きなことをやって、手ごたえが感じられるのはものすごく嬉しいです。これからももっとたくさんの国と人に届くようになればよいなと思っています。

個人から法人成りし、会計税務の大きな違いに戸惑いました。

会社設立そのものは、ウェブサービスを利用して比較的簡単にできました。
しかし、設立後の納税手続きについてはまったくお手上げでした。起業前7年程は、個人事業主として確定申告をしていたのですが、法人成りした際の会計処理や手続き、資産の引き継ぎなど、税務が急に難しくなったと感じました。税金に関する知識をほとんど持たずに起業したので仕方ないのですが、当時は自分でやるべきことと、税理士など人に依頼してよいこととの区別もつかず、本当にお手上げでした。
現在、みんなの会計事務にしっかりとフォローしてもらっているので、不便を感じることはありません。
他は、口座を整理しておけばよかったと思います。所得計算や必要経費のことがあるので、用途ごとに資金を分けるなど、準備をしておけばよかったと思います。

世の中の情勢から、極力影響を受けない会社にしていきたい。

コロナ感染拡大した当時、僕の仕事は大きな影響を受けました。
現在、会社規模を大きくすることは考えていませんが、収入の柱を1つではなく、複数持つことでいろんなリスクを回避することができるのではと思っています。
これから会社設立をするなら、社会情勢に左右されないようにするにはどうしたらよいか、ということも念頭に置くことも大事かもしれません。

 

合同会社NANAIROKIKAKU 代表社員・松本慎二様

 

事務局からひとこと

話す技術力の高さから、コミュニケーション術や話し方講座など講師としてのオファーも多いそうですが、「喋りの世界には正解がないから」とお断りしているとのこと。人の心をぎゅっと掴むのは、技術と努力よりむしろ、元来の誠実なお人柄によるところも大きいのではないかと感じました。松本様がこれからもご自身の活動に専念でき、新たなご活躍の場を広げていけるよう、私たちもしっかりとサポートさせていただきたいと思います。