未成年者を雇用するときの注意点とは!?

学生のアルバイトは珍しいことではなく、飲食店やコンビニエンスストアなどでは、多くの学生が働く姿を見ることが可能です。また学生アルバイトも労働者であることには違いがなく、労働基準法によって保護の対象とされています。

しかし、労働基準法は、未成年者の労働について、深夜業の制限や労働時間の制限など一般の労働者とは異なった制限を設けています。当記事では、未成年者の雇用において注意すべき点を解説しているため、未成年者の雇用を考えている方は、是非参考にしてください。

 

 

年齢による区分に注意!

労働基準法においては、満18歳に満たない者を「年少者」として、労働契約における特別な保護の対象としています。また満15歳に達した日以後最初の3月31日が終了するまでの者を「児童」と定義し、原則として事業に使用することを禁止しています。

ただし、児童の労働制限には、例外があり、満13歳以上の児童であって映画や演劇、商業といった非工業的業種であれば、次の要件を満たすことで例外的に使用することが可能です。

・児童の健康及び福祉に有害でないこと
・労働が軽易なものであること
・所轄労働基準監督署長の許可を受けること
・修学時間外に使用すること

児童の労働における具体例としては、中学生を新聞配達で使用する場合などがあげられます。また満13歳未満であっても、映画の製作又は演劇の事業であれば、同様の要件を満たすことで、例外的に使用が許され、演劇子役として活動することが可能です。

労働者は、一定の場合を除いて解雇予告手当を支払わなければ、即時解雇することはできませんが、これは年少者や児童であっても変わることはありません。また年齢制限に違反して雇用した場合であっても、解雇予告の規定は適用されることに注意が必要です。

 

 

未成年者との労働契約の注意点

未成年者の労働契約は、親権者や後見人が本人に代わって締結することが禁じられています。また親権者もしくは後見人又は所轄労働基準監督長は、締結された労働契約が未成年者に不利であると認める場合には、将来に向かって契約を解除することが可能です。

また、未成年者は、独立して賃金を受け取ることができるため、親権者又は後見人は、未成年者に代わって賃金を受け取ってはならないとされています。民法によれば、未成年者について親権を行使する者は、本人の同意を得て、その者の財産に関し、本人に代わって法律行為ができると定められています。しかし労働基準法では、未成年者が本人の意思によらず、労働を強制され、経済的に搾取されることを防ぐため、民法の原則に修正を加え、未成年者の保護を図っています。

使用者は、満18歳に満たない者を使用する場合においては、戸籍証明書等の年齢が確認できる書類を事業場に備え付けなければなりません。また児童を使用する場合にはおいては、修学に支障がないことを証明する学校長の証明書と、親権者又は後見人の同意書を事業場へ備え付けることが併せて求められます。

 

 

労働時間等の制限があることに注意!

未成年者には、労働時間等においても一般の労働者とは異なる制限が設けられており、変形労働時間制や高度プロフェッショナル制度の規定は適用されず、深夜業にも用いてはなりません。また36協定を締結していたとしても、時間外・休日労働に従事させることはできず、休憩の特例の適用もないため、休憩は一斉に労働時間の途中に与え、自由に利用させることが義務付けられています。

商業、映画、演劇業、保健衛生業及び接客娯楽業であって常時10人未満の労働者を使用する特例事業においては、1週間の法定労働時間を44時間とすることが可能です。しかし未成年者の場合にあっては、この特例の適用はなく、特例事業に該当する場合であっても、原則通りに週40時間を法定労働時間としなければなりません。

また、児童の労働時間は、休憩時間を除き、修学時間と通算して週40時間を超えて労働させてはならず、1日についても休憩時間を除き、修学時間と通算して7時間が労働時間の限度となっています。児童における深夜の定義は、通常と異なり午後8時から午前5時となっていますが、演劇子役として使用される児童にあっては、厚生労働大臣が必要と認める場合に限り、午後9時から午前6時までを深夜とすることが可能です。

 

 

労働時間等の制限の例外

未成年者の労働時間等に関する制限は、あらゆる場合において適用されるわけではありません。一定の場合には、変形労働時間制の下で使用することも可能であり、時間外・休日労働や深夜業の制限においても例外規定が設けられています。

変形労働時間制等の例外

年少者は、1週間の労働時間が40時間を超えない範囲内において、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内にすることで、他の日の労働時間を10時間まで延長することが可能です。また1週間について48時間、1日について8時間を超えない範囲内において、1ヶ月単位の変形労働時間制又は1年単位の変形労働時間制の下で労働することができます。

 

時間外・休日労働制限の例外

次の場合には、年少者を時間外・休日労働に使用することが可能です。

・災害等又は公務のために、臨時の必要性がある場合
・年少者が管理監督者や農業等従事者といった法41条該当者である場合

 

深夜業の例外

次の場合には、年少者を深夜業に使用することが可能です。

・災害等により臨時の必要性がある場合で、時間外・休日労働が深夜に及んだ場合(公務の場合は不可)
・農林業・水産業・養蚕・畜産業、保健衛生業又は電話交換の業務に使用される場合
・交代制によって使用する満16歳以上の男性の場合
・交代制によって労働させる事業であり、所轄労働基準監督長の許可を受けて、午後10時30分まで労働させる場合

 

 

まとめ

飲食店などにおいては、未成年者をアルバイトとして雇用することも多くなっており、一般の労働者との制限の違いを知らなければ、労働基準法に違反することにもなりかねません。また未成年者の労働時間等に関する制限違反には、罰則も予定されており、知らなかったでは済まされない問題につながる可能性もあります。

当記事では、未成年者を雇用する場合における一般の労働者との違いについて解説を行ってきました。これから未成年者の雇用を考えている方は、当記事の解説を参考にして、労働基準法に違反しないような未成年者の使用を心掛けてください。