男性の子育てをサポート!経営者が知っておきたい両立支援等助成金

新型コロナウイルスによる自粛やテレワークの影響で、自宅で子供と過ごす時間が増えた男性も多いでしょう。育児休業を取ったり、仕事と育児を両立させたりするのは、女性の役目だという意識は、いまも根強いかもしれません。

ですが、ワークライフバランスの重視などの観点から、育児休業を取りたいと申し出る男性は、これから増えることが予想されます。

この記事では、厚生労働省の助成金のなかから、男性労働者の育児休業取得をサポートするコースについて、ご説明します。

 

厚生労働省の助成金とはどのようなものか

助成金は、その目的に応じて「雇用維持関係の助成金」「人材開発関係の助成金」などに大別されます。

さらに、いくつものコースに分かれていて、それぞれに支給要件が定められています。

 

なお、コースを問わず、助成金の支給対象となる事業主は、以下に限定されています。

  • 雇用保険の適用事業所の事業主である
  • 規定の期間内に助成金の申請を行う事業主である
  • 助成金の支給のための審査に協力する事業主である

 

また、中小企業であるか否かで、助成金の支給要件や支給金額が異なります。中小企業に該当するのは、以下の企業です。

  • 小売業:資本額・出資額が5千万円以下、または常時雇用する労働者が50人以下
  • サービス業:資本額・出資額が5千万円以下、または常時雇用する労働者が100人以下
  • 卸売業:資本額・出資額が1億円以下、または常時雇用する労働者が100人以下
  • その他:資本額・出資額が3億円以下、または常時雇用する労働者が300人以下

 

今回ご紹介する助成金のコースは、「両立支援等助成金」のなかの、「出生時両立支援コース」と「育児休業等支援コース」です。

 

「両立支援等助成金」は、読んで字のごとく、労働者の仕事と家庭の両立支援を対象とする助成金です。

支援のために必要な取り組みを行い、支給要件を満たした事業主に支給されます。

 

 

出生時両立支援コースとはどのようなものか

それでは、「出生時両立支援コース」からご説明しましょう。

 

「出生時両立支援コース」は、別名「子育てパパ支援助成金」と呼ばれています。まさに、男性労働者の子育てをサポートするために設けられたコースだと言えます。

 

この「出生時両立支援コース」の助成金を受給するには、事業主の取り組みとして、男性労働者が育児休業、あるいは育児を目的とする休暇を取りやすい職場の風土づくりが必要です。

 

そして、男性労働者が、養育する子の出生後8週間以内に、連続14日以上(中小企業は連続5日以上)の育児休業や育児目的の休暇を開始した場合に、助成金が支給されます。

 

職場風土づくりの取り組みとは、たとえば、次のようなものを指します。

  • 男性労働者の育児休業取得に関する研修を行う
  • 男性労働者の育児休業制度の利用を促すための資料を配る
  • 経営者などから社内に、男性労働者の育児休業取得を呼びかける
  • 育児休業を取得した男性労働者の事例を集めて、社内に周知する

 

 

育児休業等支援コースとはどのようなものか

次に、「育児休業等支援コース」についてご説明します。

 

前項の「出生時両立支援コース」と違って、こちらのコースでは、育児休業を取得する労働者に関して、性別の定めはありません。

ただし、「出生時両立支援コース」との併給はできません。

 

次のような場合に、中小企業事業主にのみ、助成金が支給されます。

  • 「育休復帰支援プラン」に基づいて、労働者が円滑に育児休業を取得した
  • 「育休復帰支援プラン」に基づいて、労働者が円滑に育児休業から職場復帰した
  • 育児休業を取得する労働者の代替要員を確保し、育児休業終了後、その労働者を原職に復帰させた
  • 労働者に職場復帰後の支援をした(法を上回る子の看護休暇制度や保育サービス費用補助制度を導入し、労働者が利用した)

 

「育休復帰支援プラン」とは、事業主が作成するプランで、労働者の育児休業の取得、および育児休業からの職場復帰を円滑に行うための措置を定めたものです。

 

なお、「育児休業等支援コース」には、現在、「新型コロナウイルス感染症対応特例」が設けられています。

「新型コロナウイルス感染症対応特例」に関しては、中小企業以外の事業主も受給することができます。

 

次のような場合に、助成金が支給されます。

  • 新型コロナウイルスの影響による小学校の臨時休業などで、子の世話をする労働者のために、特別休暇制度および両立支援制度を導入し、労働者が利用した

 

 

まとめ

助成金は、年度が変わるタイミングで、コースが新設されたり廃止されたりすることがあります。

2021年度に関して言えば、「新型コロナウイルス感染症対応特例」のような特別措置も設けられたほどです。

 

また、同じコースであっても、支給要件が変更される可能性もあります。

助成金の最新情報は、厚生労働省のホームページでも確認できますので、少しでも気になるときは、目を通すことをおすすめします。