会社を設立したら、将来的には株式上場(IPO)をしたい、と考える方も多いでしょう。今回は株式上場(IPO)とは?株式上場(IPO)のメリット・デメリットなどについて解説します。
株式上場(IPO)とは?
株式上場とは、自社の株式を広く一般に取引されている市場の取扱銘柄とし、証券市場で多くの人が自由に売買できるようにすることをいいます。英語では「Initial Public Offering」とい、「IPO(アイピーオー)」と略して呼びます。
株式上場をすると、広く誰でも株を買って株主となることができます。そのため、どのような会社でも株式上場できるわけではなく、一定の利益基準や、その他の厳格な上場基準を満たした会社だけが上場することができます。
株式上場(IPO)のメリット・デメリット
株式上場(IPO)のメリット
①多額の資金調達が可能に!
多くに人から資金調達をすることができるようになり、資金調達能力が格段に向上します。
②会社の知名度が高まる
会社の知名度が飛躍的に高まり、社会的信用が高まります。これに伴い、優秀な人材を確保できる可能性が高まりますし、取引先の幅も広がる可能性があります。
③組織だった会社経営ができる
上場準備作業を通じて社内管理体制が強化され、組織だった会社運営が可能となります。
④役員・従業員へのインセンティブになる
ストックオプションなどのインセンティブ・プランを役員・従業員に提供することが可能となります。インセンティブを与えることによって、業績向上を図ることができるようになるでしょう。
⑤M&Aをしやすくなる
株式が市場価値を持つことにより、株式交換制度等を利用した企業買収が可能となります。
⑥株主の財産形成になる
株式が市場において換金性を持つことにより、株主の財産形成を図ることができます。従業員持株会制度などを作っていれば、従業員の財産形成ともなります。
⑦創業者利潤を獲得することができる
多くの場合で、上場時に、創業者が保有している株式の一部を売出しします。売出しの対価は創業者に入ってきますので、創業者利潤を獲得することができます。
株式上場のデメリット
①開示義務が生じる
上場会社は上場会社を規制する法律や証券取引所の規制を守らなければなりません。
また、四半期決算を行い、開示が必要となるなど、会社情報の開示義務が生じます。
②買収されるリスクがでてくる
株式上場すると、自社の株式が市場で自由に売買されることになります。株式を買い集められて(買収によって)経営権を奪われるリスクがあります。
③株主に配慮した経営が必要
オーナー以外に多数の株主が出てくることとなるため、それらの株主に配慮した経営が必要となります。短期的な利益を求める株主が多く、そのことを意識しなければなりません。また、株主総会で決議が否決される可能性もあります。
④株式上場できないこともある
これは株式上場のデメリットではありませんが、多くの手間やコストをかけて上場準備をしたとしても、株式上場ができない可能性もあります。
メリット、デメリットを慎重に勘案した上で、株式上場の準備を進めるかどうかを決定することが必要です。
株式上場(IPO)するための期間は?
一般的には株式上場のための準備期間は少なくても2~3年間程度はかかりますし、5年~10年とかかることも多くあります。上場前から会社規模がそこそこ大きければ、体制を整備するための時間が多くかかることになるでしょう。
また、上場するには、証券取引所への手数料、監査法人への監査報酬、証券会社への手数料、印刷会社への手数料など株式上場に直接かかるコストの他、内部管理強化のための人件費などの社内コストの増加など、たくさんの費用がかかり、利益水準が低い場合には会社経営を圧迫する原因にもなりかねません。
株式上場(IPO)するためにはどれくらいの利益が必要?
東証マザーズなどの新興市場では、赤字でも上場することができます。そのため、一概にいくら利益が出たら上場できる、と言うことはできません。なお、東証JASDAQのスタンダード基準では、「最近1年間の利益の額が1億円以上であること」が利益基準となっていますので、これを一つの目安と考えることもできます。
これを目安とする場合でも、1億円以上の利益が出たらどんな会社でも上場できる訳ではありません。投資家は、基本的には株価があがりそうな会社に投資をするわけですから、将来性のある事業計画を描けていることが重要なポイントとなります。また、上場するといわば公的な器になる訳ですから、それに相応しい経営が行えるような会社でなければなりません。オーナー社長のワンマン経営や内部管理が弱い会社は上場することはできません。
まとめ
将来、株式上場(IPO)を目指すなら、会社を設立した段階から株式上場のことを意識して経営をするとよいでしょう。株式上場を意識して早い段階で組織だった経営を行っていれば、本格的に上場準備に入ったときにスムーズに進む可能性が高まります。