法人税等の税金の申告には、青色申告と白色申告の2種類があることをご存じですか?青色申告にすると、赤字を繰越できる、少額備品を経費にできるなど、様々な税務上の特典があります。会社を設立したら必ず青色申告をしましょう!
法人の青色申告の主なメリット。白色申告との違いは?
青色申告をすると主に次のようなメリットがあります。
1.赤字(欠損金)を翌期以降に持ち越しできる
青色申告にすると、決算で赤字(欠損金)が出たときに、その赤字を翌期以降に最大10年間持ち越し(繰越)することができます。翌期以降に赤字を持ち越しすると、黒字が出たとしても、持ち越しした赤字と相殺して法人税等を生じないようにすることができます(欠損金の繰越控除)。ただし、中小法人以外の法人は、毎年控除できる金額に上限があります。
白色申告の場合は、赤字の持ち越しができないため、過去にどれだけ赤字を計上していたとしても、黒字が出たときは法人税等を支払わなければなりません。
2.赤字(欠損金)が出たときに法人税が還付される
青色申告をする中小法人は、前期は黒字で法人税を支払ったが、今期は赤字となった、という場合には、前期に支払った法人税を当期の赤字(欠損金)の範囲内で還付を受けることができます(欠損金の繰戻し還付)。
3.少額資産は全額経費処理できる
10万円以上の資産を購入したときは、原則として、固定資産に計上し、減価償却をしなければなりません。
しかし、中小企業者等(資本金1億円以下の一定の法人)の場合は、青色申告にすると、30円未満の少額資産については、一年あたり合計300万円まで、購入時に全額経費処理することができます。例えば、利益がたくさん出そうな年に、翌期以降に使用する消耗品をたくさん買って、節税を図る、ということができます。
その他にも、青色申告をしていることが適用要件となっている特例があります。
法人が青色申告をするときの要件は?
法人が青色申告をするときの主な要件は次のとおりです。
法人が青色申告をするときの要件
①複式簿記で帳簿を作成していること
②帳簿書類を整理して、7年間保存していること
③税務署長から青色申告の承認を受けていること
簡単に言うと、会計帳簿を作って、請求書や領収書など根拠となる書類とともに7年間保存しなさい、ということです。
帳簿を作らないと正しい申告ができませんし、帳簿や書類が残っていないと税務調査があったときに正しい申告であることを証明することもできません。
会社にとっては当たり前のことをすれば、青色申告の特典を受けることができるわけですから特段のデメリットでもありません。
青色申告承認申請書の提出期限
青色申告の要件に「税務署長から青色申告の承認を受けていること」があります。
承認を受けるためには「青色申告承認申請書」を、所轄の税務署に提出します。
この「青色申告承認申請書」は、青色申告をしようとする事業年度が始まるまでに提出しておかなければなりません。
ただし、会社を設立した場合は、次のうちいずれか早い日の前日までに提出すれば、設立した事業年度から青色申告をすることができます。
・会社設立の日以後3か月を経過した日
・その事業年度終了の日
期限に遅れるとその期は青色申告をすることができませんので、注意しましょう。
税務署に「青色申告承認申請書」を提出しても、通常は「承認しました」というような書面は届きません。一定期間、承認や却下の通知がなかったときは、承認があったものとみなすこととなります。
まとめ
法人の青色申告について解説しました。会社設立間もないタイミングでは、初期投資も多く、赤字となる可能性も多いと思われます。しかし、期限までに「青色申告承認申請書」を提出しておらず、赤字を持ち越しすることができない、というケースがよくあります。これは税金を余分に支払うこととなり、もったいないことです。会社設立したらすぐに青色申告承認申請書を提出するようにしましょう。