エアコンを購入した場合、原則として減価償却を行う必要があります。今回は、エアコンの減価償却の方法、勘定科目や耐用年数、注意点などについて解説します。
エアコンは原則として減価償却が必要
建物や機械、車両、ソフトウェアなど一年以上にわたって使用する見込みの資産のことを「固定資産」といいます。この固定資産の購入費用も事業に要したものですから、必要経費にはなります。しかし、購入した年に全額が経費になる訳ではありません。減価償却(げんかしょうきゃく)を行い、その固定資産の種類ごとに定められた年数(法定耐用年数)にわたって、分割して経費計上することができます。
主な減価償却の方法には、①毎年、一定額の減価償却費を計上する「定額法」と②毎年、一定の率で減価償却費を計算する「定率法」、③使用量に応じて減価償却費を計上する「生産高比例法」などがあります。
エアコンも一年以上にわたって使用することが見込まれる資産ですから固定資産に該当し、原則として、減価償却を行う必要があります。エアコンの場合は、通常は「定率法」を使って減価償却をします。
ただし、次の場合には、通常の減価償却によらないことができます。
エアコンの取得価額が10万円未満の場合
取得価額が10万円未満の場合は、取得した時に全額を経費に計上することができます。この場合の勘定科目は「消耗品費」などを用いるとよいでしょう。
取得価額が10万円未満かどうかは、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。エアコンの場合は1台あたりの金額で判定することになります。
エアコンの取得価額が10万円以上20万円未満の場合
取得価額が10万円以上20万円未満の場合は、通常の減価償却の他に、一括償却を選択することができます。一括償却とは、その事業年度中に取得した一括償却資産をまとめて3年間で均等償却する方法です。事業年度の途中に取得した場合でも月割り償却する必要はありません。この場合の勘定科目は「一括償却資産」を用いることになります。
エアコンの取得価額が10万円以上30万円未満の場合
中小企業者等で一定の要件を満たす場合で、取得価額が10万円以上30万円未満の資産を取得したときは、全額を経費に計上することができます。この制度のことを「少額減価償却資産の特例」といいます。なお、この特例を使う資産の合計は、一事業年度あたり300万円が上限となります。
この特例を使えば、エアコンを購入時に全額費用処理することができます。この場合の勘定科目は「消耗品費」などを用いることになります。
減価償却をわかりやすく解説!使い方次第で大幅に節税も可能に!
エアコンの減価償却の方法は?勘定科目や法定耐用年数は?
エアコンには家庭用のものと業務用のものがあり、それぞれ勘定科目や法定耐用年数が異なります。それでは見ていきましょう。
家庭用エアコンの場合
家庭用エアコンの場合の勘定科目は通常「工具器具備品」を用いることになります。
家庭用エアコンの法定耐用年数は次のとおりです。
器具及び備品 | 1 家具、電気機器、ガス機器及び家庭用品(他の項に掲げるものを除く。) | 冷房用又は暖房用機器 | 6年 |
業務用エアコンの場合
業務用エアコンの場合の勘定科目は「建物付属設備」または「工具器具備品」を用いることになります。オフィスビルなどで使われるような、ダクト工事を伴う天井埋め込みエアコン(ビルトインエアコン)の場合は、建物と一体となるため、「建物付属設備」を使います。そうでない場合は家庭用エアコンと同じ「工具器具備品」を用いることになります。
業務用エアコンの法定耐用年数は次のとおりです。
建物附属設備 | 冷房、暖房、通風又はボイラー設備 | 冷暖房設備(冷凍機の出力が22キロワット以下のもの) | 13年 |
その他のもの | 15年 |
エアコンを修理したときの費用はどうなる?
エアコンが故障し、修理したときの費用はどうなるのでしょうか?
エアコンの故障を修理するためにかかった費用は、通常は経費に計上することができます。その場合の勘定科目は「修繕費」を用いることが一般的です。エアコンのクリーニングを行ったときも同様です。
エアコンを減価償却するときの注意点
取得価額には設置工事費・取付費用などの付随費用を含める
エアコンを取得する際に、本体価格の他に設置工事費・取付費用などがかかることがあります。この場合、設置工事費や取付費用などはエアコンの取得価額に含める必要があります。
例えば、エアコンが27万円、設置工事費が5万円の場合は、取得価額が32万円(27万円+5万円)となるため、少額減価償却資産の特例を適用することはできません。
取得価額32万円で固定資産計上し、減価償却を行う必要があります。
償却資産税の申告対象となる
取得価額が10万円以上のエアコンは償却資産税の申告対象となる可能性があります。償却資産税のことも忘れないようにしましょう。
まとめ
エアコンの減価償却の方法、勘定科目や耐用年数、注意点などについて解説しました。間違った処理をしていると税務調査などで指摘される可能性があります。エアコンの減価償却についてしっかりと理解して正しく会計処理を行うようにしましょう。