会社が支払わなければならない税金の一つに償却資産税というものがあります。今回はこの償却資産税について解説します。
償却資産税とは?
償却資産税とは固定資産税の一種です。法人(会社等)や個人事業主の方が1月1日時点で一定の償却資産(固定資産)を一定額以上所有しているときは、償却資産税(固定資産税)を支払わなければなりません。
毎年、1月31日までに、その資産がある市区町村に対して固定資産税(償却資産税)の申告を行います。その後、申告した内容に基づいて償却資産税の額が計算され、4月~5月頃に課税通知書と税金の納付書が送付されてきます。納付時期は4月または5月・7月・12月・2月の年4回に分かれており、送付されてきた納付書をもとに税金を納めます。
なお、個人の場合は、事業をしている方が対象です。事業をしていない方が償却資産税の対象資産を所有していたとしても申告する必要はありません。
償却資産税の対象資産は?
償却資産税の対象資産は、事業で使用することができる土地・家屋・自動車・軽自動車以外の有形減価償却資産で、機械や器具備品など様々な資産が含まれることとなります。ソフトウェアなどの無形固定資産は償却資産税の対象とはなりません。
償却資産の対象となるかの金額基準は、原則として、税務会計(法人税の申告等)と同様で一つあたりの資産の取得価額が10万円以上かまたは耐用年数が1年未満かどうかで判断します。
ただし、次のような税務会計との相違点がありますので注意してください。
(税務会計との相違点)
・取得価額が10万円未満の資産であっても税務会計上、減価償却資産として処理している場合には償却資産税の対象となります。
・30万円未満の少額減価償却資産については、法人税や所得税の申告では費用処理することもありますが、この場合であっても償却資産税の対象となります。
・一括償却資産として処理した資産は償却資産税の対象とはなりません。
償却資産税の計算方法
償却資産税の金額は次の計算式で計算されます。
課税標準額とは、その資産の取得価額ではなく、固定資産の減価償却のような考え方に基づいて、償却資産の取得時期、取得価額及び耐用年数を基本として次の計算式により算出された金額のことをいいます。
前年中に取得した資産
前年前に取得した資産
減価率は耐用年数毎に定められています。
前年中に取得した資産は、月割りではなく、減価率の1/2で計算する点が特徴です。
なお、免税点が設けられており、課税標準額が150万円未満である場合には、償却資産税はかかりません。
償却資産税の計算はこのように行いますが、課税標準額及び税額は申告した内容に基づいて市区町村が行いますので、自身で正確に計算できなくても大丈夫です。
償却資産税の申告はどうする?
毎年、11月~12月頃に市区町村から償却資産税申告書の用紙が送付されてきます。
この申告書に前年中に増加した資産、減少した資産、残っている資産について、名称・種類・金額・耐用年数等を記入して申告します。
対象となる資産がない場合は、備考欄に「該当資産なし」と記載すればよいでしょう。
この償却資産税申告書は事業所がある市区町村ごとに提出しなければなりません。
償却資産税の申告で注意しないといけないこと
取得価額に消費税は含めるかどうか
取得価額は消費税を含めるかどうかは経理処理によります。税込処理しているときは税込金額とし、税抜処理しているときは税抜金額とします。そのため、税込処理している方が償却資産税は高く計算されることとなるでしょう。
付属設備の申告漏れに注意
特に不動産オーナーなどの場合は、付随設備が漏れやすいので注意してください。
電気設備、給排水設備、衛生設備、空調設備、消防設備等の各設備や内装・内部造作などは償却資産に区分され、償却資産税の申告対象となります。
償却資産税は必要経費にすることができる?
事業に関して支払った償却資産税は必要経費にすることができます。経費計上のときの勘定科目は通常「租税公課」を使います。
仕訳や会計処理について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
固定資産税を支払ったときの仕訳や勘定科目を解説
まとめ
償却資産税について解説してきました。償却資産税については忘れられがちですが、市区町村からチェックが入ることもあるので、忘れずに申告をする必要があります。なお、10万円以上20万円未満の資産を一括償却資産として処理したり、税抜経理することによって償却資産税の節税を図ることができますので、押さえておきましょう。