開業資金の調達をする時には、事前に知っておいた方がよい知識や手順があります。以下であげたポイントは、開業時の資金調達に共通するものですので、しっかりと理解しておきましょう。
開業に必要な資金を調達するときの6つの注意点
その1:資金調達では、差別化の有無や今後のプランをどこまで具体的に伝えられるかが重要
複数の資金調達の方法があるとはいえ、開業資金の調達は簡単ではありません。
資金調達のハードルを下げるためにも、自分にあった方法は何かをよく考えて選ぶようにしましょう。
なお、創業者の方については実績や信用が少ないため、それ以外の部分でアピールできる必要があります。そのためには、事業プランに差別化ができていることや今後の経営に問題がないことをどこまで具体的に伝えられるかが重要なポイントとなります。
その2:開業当初の運転資金は、最低3ヶ月分を確保しておく
開業後には,家賃や人件費、仕入れ代などの運転資金が必要となります。
また、開業してすぐの頃はなかなか売上げも上がりにくく、経営が軌道にのりにくいため、その間の運転資金や代表者の給与なども確保しておく必要があります。
最低でも3ヶ月分の資金が確保できていないと、支払いに支障を生じたり、途中で追加の借り入れが必要となる可能性が高くなるため、目安としては経費の3ヶ月分、できれば6ヶ月分を用意しておくと安心です。
まずは、1ヶ月に必要となる運転資金の額を把握した上で、当面の経営のためにはどのくらいの資金が必要なのかを考えて計画を作る必要があります。
その3:業種によって開業に必要な資金の額は異なる
業種によっても必要となる資金の額は大きく異なります。とくに、飲食店のような仕入れのある業種や販売業のような在庫を必要とする業種では、運転資金が大きくなりやすくなります。
また、多くの従業員などを使用する業種では多額の人件費が発生しますが、これについては営業途中での削減や増員が難しいため、綿密な人員計画にもとづく資金の調達が重要となります。
その4:資金調達では創業計画書(事業計画書)の中身が重要
創業者が資金調達をする場合には、通常、創業計画書(事業計画書)が必要となります。実績や経験が少ない創業者にとって創業計画書はほぼ唯一の拠り所となるため、その出来・不出来は結果に大きな影響を及ぼします。
金融機関等に評価してもらえる事業計画を作るためには、以下のポイントを押さえた計画となっていることが望ましいといえます。
・ 事業に対する熱意が感じられる内容となっているか?
・ 計画の内容や目標の数字は、他と比べて妥当なものとなっているか?
・ 実際に実現ができる計画内容となっているか?
・ コンセプトや仕組みなどで他との差別化やオリジナリティがあるか?
・ 数字を裏付ける根拠やエビデンスなどがあるか?
その5:補助金・助成金は返済不要だが、審査が厳しく後払い。
補助金や助成金は返還不要の資金ですが、その分審査が厳しいものが少なくありません。厚生労働省が管轄する助成金は、原則として、必要な要件を満たせば誰でも受給できるため、比較的利用しやすいといえます。しかし補助金の場合には、一定のテーマについて内容の優劣を競うコンテスト形式で行われるため、誰もが受給できるわけではありません。
したがって、補助金をメインの資金調達手段としてしまうと、審査に通らなかった場合に大幅な計画の変更が必要となってしまいます。そのため補助金等を利用する場合には、応募の条件や受給の可能性などを最新の公募要領などによって確認しておく必要があります。
また、補助金や助成金の給付は、すべて「後払い」となります。そのため、これらの資金をもらうためには、事業主がその事業の完了までにかかる経費をすべて立て替える必要があります。したがって、交付決定に記載された金額がすぐにもらえるわけではないとうことに注意してください。
その6:ベンチャーキャピタルなどからの出資には、リスクもある
ベンチャーキャピタルや他企業から出資を受けたときに、忘れてはいけないのが「配当金の支払い」です。
この配当の割合が高い場合には、その後の経営の足かせとなりやすいため、「無理な配当金額となっていないか?」、「配当が支払えない場合の取り扱い」などについて十分に確認しておく必要があります。
また、一定期間以内の株式上場などが条件となることも多くあります。条件を満たさなければ、ベンチャーキャピタルから株式を買取りしなければならないこともありますから、出資を受ける際は、その条件に注意しましょう。
金融機関との交渉や創業計画書の作成が難しい場合には、専門家への依頼も検討しよう
外部から資金の調達をする際には、ほとんどのケースで事業計画書の作成が必要となります。そのため、どんなに熱意があったとしても、その事業計画の内容が十分なものでなければ希望する資金を調達することはできません。また、融資の申込みでは、金融機関の担当者との面談なども必要となります。そのため、このような作業に慣れていない方にとっては事業計画の作成や金融機関との対応を難しいと感じることも少なくないと思います。
「思うように計画を作ることができない」、「金融機関との面談に不安がある」というときには、早めに専門家のサポートを受けることをおすすめします。専門家の適切なサポートを受けることにより、審査に通りやすい計画を作ることができるだけでなく、作成にかかる時間の短縮をすることが可能となります。
まとめ
開業資金を調達するには、熱意だけでなく、しっかりとした事前の準備が何より大切です。
とくに、事業計画書の内容は、重要となります。また、開業当初に必要な運転資金としては最低3ヶ月、できれば6ヶ月分を確保できるようにしましょう。なお、資金調達の手段の一環として補助金や助成金を利用するときには、「すぐにもらえる資金ではない」、「先に事業費全額の支払いが必要となる」ということも、忘れずに覚えておきましょう。