起業・開業にかかる初期費用の内訳と節約方法

起業・開業の際には、多くの資金が必要となります。どの程度の資金が必要となるのかは、「何の事業をするのか?」、「どのような形態で開業するのか?」などにより異なるため、シッカリと見積もりをした上で過不足のないように準備する必要があります。また、それと同時に、必要な資金の内訳や業種ごとの相場なども押さえておいたほうがよいでしょう。この記事では、スムーズな準備ができるよう、開業時にかかる費用や資金の内訳、費用の節約方法などについて解説いたします。

 

起業・開業時にはどのくらいの資金が必要か?

効率的に開業をするためには、まずは、開業時にどのような経費がかかるのかを正確に知っておかなければなりません。また、法人と個人事業では経費の内容も異なるため、それぞれの状況に応じた見積もりをする必要があります。

会社を設立して開業するとき

会社を設立して開業するときには、大きく分けて「通常の開業資金」と「法人設立の費用」の2つが必要となります。

①事業関連費用

事業を始めるために必要となる資金としては、以下のようなものがあります。

<運転資金>

・店舗の契約関連費用(仲介手数料、礼金等) ※店舗を借りて営業する場合
・家賃
・仕入れ代
・人件費
・水道光熱費
・宣伝広告費
・雑費

<設備資金>

・店舗の保証金
・内外装工事費
・厨房機器や備品の購入費
・看板代
・車両代

 

②法人設立関連費用

法人を設立して開業する場合には、以下のような費用がかかります。

・設立登記の登録免許税(株式会社の場合15万円〜、合同会社の場合6万円〜)
※資本金額×0.7%と比較した高い方の額。
・公証人の定款認証手数料 5万円
・収入印紙代 4万円(電子定款の場合は不要)
・雑費 2,000~3,000円(定款の謄本代等)
・専門家への報酬 5万円~

法人設立の際に必要となる登録免許税は、株式会社の場合は15万円〜となりますが、合同会社では6万円〜と割安になります。また、合同会社では株式会社と異なり、定款に公証人の認証を受ける必要がないため、定款認証手数料5万円が不要となります。

なお、株式会社、合同会社のいずれについても、定款を紙で作成した場合は4万円の印紙税が必要ですが、電子定款で作成した場合は不要です。

 

個人事業で開業する場合

個人事業で開業する場合には、上記の事業関連費用とほぼ同じ程度の費用が必要となりますが、設立関連の費用は不要なため6〜25万円程度の節約となります。

 

 

起業・開業時に必要となる資金の額の目安

開業時に必要となる資金額は、業種や立地、従業員の数などにより大きく変わりますが、一般的には業種に応じて以下の程度の金額が目安となります。

飲食店 800〜1,500万円  美容室 600~1,500万円  ラーメン店 500~1,000万円
不動産業 300〜800万円  学習塾 200~1,000万円  士業 50~150万円
コンビニ 400〜3,000万円 ※最低額は、所有店舗での開業の場合
HP作成やシステムの受託制作 100〜200万円  古物商 100~300万円

 

 

起業・開業時にかかる初期費用を節約する方法

開業時にはさまざま経費がかかるため、その総額も大きくなりやすいですが、以下のような方法を活用すれば負担を少なくすることができます。

① リサイクルショップを利用する

開業時に必要となる厨房機器や、什器、備品などはリサイクルショップを利用すると大幅に安く仕入れることができます。少し前の年式や多少のキズがあるようなものならば、定価の50%~70%で入手できるため、「普通に機能すれば問題ない」という方にはおすすめです。

② 設立手続きを自分でする

法人の設立をする場合には、登録免許税などに他に、専門家への報酬が必要となります。しかし、ネットの情報などを参考にして手続きを自分で行えば、費用の節約となります。また、最近では、定款認証手続きを格安で行っているところもあるため、認証手続きはこのようなとこにまかせて、のこりの手続きは自分でするということでも節約ができます。

③ 無料の譲渡サイトを利用する。

ジモティなどの無料の譲渡サイトを利用すれば、ほぼ費用をかけずに備品などを入手できる可能性があります。ただし、すべてのものが無料ではないことや、原則として相手方に出向いて引き取らなければならないことなどに注意が必要です。

④ 自宅で開業する

開業時に多額の費用がかかりやすいのが、「店舗の取得費」です。店舗やオフィスを借りて営業する場合には、内・外装工事費の他、保証金などの費用が発生します。しかし、自宅で開業またはレンタルオフィスを利用する場合には、これらの費用がかからないため少ない自己資金でもすぐに開業することができます。

⑤ 居抜き店舗を利用する

飲食店や物品の販売店を開業する場合には、居抜き店舗を利用すると初期費用を抑えやすくなります。ただし、異なった業態の店舗を利用する場合には、造作の購入や追加の工事費がかかる場合があるため、事前に見積もりをとって確かめることが必要です。

⑥ 許認可や届出を自分で行う

業種によっては、開業時にさまざまな許認可や届出が必要となります。例えば、飲食業の場合には保健所の営業許可が不可欠となりますが、深夜営業をする場合には警察への深夜酒類提供の届出なども必要となります。このような許認可を自分で行えば専門家に支払う報酬を節約できるだけでなく、今後の経営をする上での勉強にもなります。

 

 

まとめ

新たに事業を始めるときには、どの程度の経費がかかるのかをシッカリと見積もったうえで、資金の手当てを考えることが、最初に行うべき準備となります。開業に必要となる額は、業種や法人・個人の別などによって大きく異なりますが、まずは自分の事業で必要となる費用をすべて書き出して、どのくらいの資金が必要となるのかを把握しておくことをおすすめします。